上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
産経新聞 1月8日(日)10時9分配信

 多国籍化が常態となった大相撲で、これまで1人もいなかったアフリカ出身の力士がついに誕生する。昨年12月26日に行われた新弟子検査を、エジプト人のアブデルラフマン・シャーラン(19)=大嶽部屋=が受検。体格検査をクリアし、内臓検査の結果と興行ビザの取得を待って、今年3月の春場所で初土俵を踏む予定だ。アマチュアの世界大会で活躍した実力の持ち主ながら、果たして、戒律の厳しいイスラム教徒は大相撲の独特の世界で生きていけるのか-。「アフリカ初」となる力士の可能性を探った。(宝田将志)

 ■譲れない食事のルール

 イスラム教徒には「五行」と呼ばれる5つの義務が課せられている。

 その一つが礼拝だ。1日5回、聖地メッカの方角に向かって行われる。そして、断食もある。イスラム暦の第9月(ラマダン、断食月)の1カ月行われるもので、この間は日の出からから日没まで一切の飲食を断つことになる。

 もちろん、これらを厳格に順守すれば、日頃の稽古や新弟子の仕事はもとより、本場所の土俵にまで支障が出る可能性が高い。

 昨年10月から大嶽部屋に住み込んで稽古を続けているシャーラン。実際はどうなのか? 師匠である大嶽親方(元十両大竜)の説明はこうだ。

 「宗教上、問題はない。日本の習慣で大丈夫か? と聞いたら、本人は『大丈夫』と言っていた」

 ただ、どうしても譲れない点が一つだけあった。豚肉だ。豚肉だけは絶対に食べられないのだという。

 この点について、イスラム教徒の日本人男性(43)は、こう解説する。

 「礼拝の時間はずらしてもいいことになっているし、断食月も病人や旅人、戦士など事情がある場合は別の時にやればいいということになっている。イスラム教は決まり事が多いが無理強いはしない。埋め合わせできるようになっている。ただ、豚を食べる人は見たことがないですね。汚いイメージがある。衛生的にも道徳的にも不浄だとされている」

 大嶽親方によると、シャーランを特別扱いして別に食事を作ることはなく、豚肉が含まれる料理がある場合は他のおかずを食べるよう指導している。エビが好物で、生の魚も苦にしないという。それでも「鶏肉の料理が多くなりましたかね」。

 日本語はまだ片言だが、母国のアズハル大学経済学部で貿易と英語を専攻していたシャーランは覚えが早く、すでにあいさつや自己紹介はマスターした。

 部屋での団体生活でも、エジプトから来た新弟子は真摯に雑務などに向き合っている。11月の九州場所中に命じられた部屋宿舎のトイレ掃除は連日、真面目に行い、ちゃんこ番でも冷たい水できちんと野菜を洗っていたという。

 大嶽親方は「部屋の秩序を守りたい。乱れるようならいけないですから」としながらも「部屋の若い衆も(シャーランは)全然問題ないと言っている」と話す。

 心配しているのは、これからだ。

 「外国人力士の一部には日本人をなめている部分がある。そこには『相撲に勝てばいい』という考えがあったと思うが、シャーランは横柄な態度を取るわけでないし、その辺りのことを分かっているのかなと思う。『強くなったからといって、兄弟子をこき使うようならエジプトに帰すよ』とは言ってある」

 ■「相撲は生き方が表れるスポーツ」

 シャーランが相撲を始めたのは3年前、15歳の時だ。本人によると、エジプトにおける相撲の競技人口は50人ほどと極めて少ないが、知人が現地の相撲協会の代表を務めていたことが縁となった。

 「最初は力だけで勝てると思ったけど、自分より小さい相手に倒された。相撲は他のスポーツと何かが違う。そこに精神性を感じて調べていったんです。相撲は人間性、生き方が表れるスポーツだと思う」

 運命の邂逅(かいこう)をこう説明した。インターネットで過去の取組を見ることができることも大きかった。好きになった力士は横綱貴乃花(現親方)だった。

 「常に負けることのない、強いスピリットを感じました。忍耐。疲れていても、負けたとしても、何があっても、それを感じさせない」

 サッカーのエジプト代表にまでなった父を持つシャーランは、こうして相撲にのめり込み、平成20年の世界ジュニア選手権無差別級3位、22年は重量級で3位に入賞するなど海外の土俵で着実に結果を残すようになった。

 角界入りの夢が膨らんだ今年8月に来日。複数の相撲部屋に体験入門した。

 受け入れに手を挙げたのが大嶽部屋だった。外国出身力士は1部屋1人と定められているが、5人の弟子を抱える大獄部屋には、まだ外国出身力士がいなかった。

 現在、相撲協会に所属する625人の力士のうち外国出身者は10カ国計46人。横綱白鵬らモンゴル勢が28人と最多で、中国4人、ロシアとグルジアが3人ずつで続く。地域別に見るとアジア、東欧が中心でアフリカ出身となれば史上初めてである。

 実は大嶽部屋はシャーランの入門を一度、断っていた。親方によると、一昨年12月に入門を志願する手紙をもらったが、その年の7月、先代大嶽親方(元関脇貴闘力)が野球賭博への関与により相撲協会を解雇され、部屋を継いだばかり。7時間も時差があるエジプトの入門希望者のことを考える余裕はなかった。

 しかし、3月に東日本大震災があり多くの外国人が来日を敬遠する状況となっても、シャーランは売り込み用に自身のプロフィルを携え、日本にやって来た。

 会って話して親方は確信した。

 「ものすごい相撲に対する熱意がある。相撲が好きで仕方ない気持ちが一番」

 ■実力はまだ「三段目」、課題は硬さ

 すでに稽古では申し合いにも参加している。実力は「三段目くらい。幕下には勝てない」(大嶽親方)。

 今は、まわしにこだわらず前に出る相撲を叩き込んでいる段階だ。

 克服しなければいけない課題は「硬さ」。体が硬く、力士なら必須といえる股割りができない。入門時は、足を開いて座ると後ろにひっくり返ってしまう程だったという。そのため、腰が高くなりがちだ。エジプトでは「四股、股割りは全然やらないで実戦ばかりだった」(親方)そうである。

 ただ、相撲に対しての貪欲さが、これを解決していくかもしれない。

 九州場所で、こんなことがあった。大関琴奨菊のがぶり寄りを目にしたシャーランは、すぐに稽古場で実践しようとしたのだという。「良いと思ったことをやろうとする意欲が素晴らしい。ただ全然、腰が下りないんだけど…」と親方。部屋の始祖である大横綱大鵬の納谷幸喜氏(71)も「兄弟子、親方の言うことを聞いて頑張れ」と励ますなど気に懸けているという。

 胸板が厚い身長189センチ、体重138キロの体躯。新弟子検査の体力測定では背筋力215キロ、握力は右72キロ、左73キロを計測するなど力強さが魅力だ。まだ本場所の土俵にも立っていない段階で力量を測るのは早計だが、体の使い方を身につけることで、このパワーを生かし、さらに伸ばしていけるようなら面白い存在になる可能性はある。

 シャーランは白い歯を見せながら、力士としての将来をアラビア語で語った。

 「アラブ、中東を背負う力士になりたい。国の家族、友人の前で誇れる力士になりたい。これからに不安は全然ないです」

 エジプト北部・ダカリーヤ県メニイエットエルナセラ市出身。自宅からはピラミッドが見えるという19歳。故郷への思いを胸に秘めながら第一歩を踏み出した。

 「夢がある。その夢を追求したい。それが相撲道だと思う」

 四股名は、エジプトで相撲を取っていた頃の異名である「砂嵐」から転じて「大砂嵐」などが候補に挙がっている。

***********************

最近はあまり良い話題のない大相撲。
このアフリカ出身の力士が人気の再燃に一役買ってくれそうだ。
エジプト出身でアラビア語を話す彼。
外国人力士というとモンゴルや東欧出身者を思い浮かべる。
野球やサッカーの外国人選手なら通訳がつく。
しかし、相撲の新弟子となるとそうはいかず、自力で学ぶしかないだろう。
願わくば日本語が壁とならないよう、純粋に相撲を頑張れる状態になって早く彼の相撲を見てみたい。

By MT
スポンサーサイト
コメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。