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20120529 Iza

東京大学が5年後をめどに全面移行する方針を打ち出した秋入学。大学で学ぶ学生やこれから進学する高校生はどう受け止めているのか。入学時期をグローバルスタンダードに合わせるだけで、国際化につながるのか。春秋の2期入学制度を採用し海外学生が4割以上を占める立命館アジア太平洋大学(APU、大分県別府市)で学生広報スタッフ「Student Press Assistant」を務める学生5人が、その環境をフル活用して取材した。

       ◇

 ≪秋入学賛成86% 「国籍の壁」に課題も≫

 □今週のリポーター 立命館アジア太平洋大学 学生広報スタッフ 有志記者

 東京大学が(2012(平成24)年)3月29日に5年後を目指し秋入学に移行することを盛り込んだ中間報告を発表した。いよいよ現実味を帯びてきた秋入学について、当事者である学生はどう考えているのか。すでに秋入学を取り入れているAPUの学生の声や現状を取材すれば、これから検討する大学などのヒントになるのではと考えた。

 APUは、春と秋の2期に分けて学生を世界中から募っている。講義は日本語、英語の両言語で開講され、全学生約5700人のうち約2550人、教員も約170人のうち77人が外国籍だ。国籍は学生が84カ国・地域、教員も28カ国・地域に及んでおり、多様な学生の生の声を聞くには最適な環境にある。


 ■留学生集まる

 取材ではまずアンケートを実施した。対象としたのは、APUの学生が国内162人と外国籍83人の計245人、高校生が143人。さらにAPUがある別府市民の声も、大分県が調査しホームページ上で公開している「大学誘致に伴う波及効果」を参考に抽出した。

 APUの学生には、入学制度をどうすべきかを聞いた。選択肢は、(1)秋入学への完全移行(2)春秋の2期入学(3)春入学の維持(4)その他-4つ。その結果、秋入学への完全移行に賛成したのは、国内14人と外国籍10人の計24人で、春入学の維持は国内16人、外国籍が7人の計23人とほぼ同数で、いずれも約9%にとどまった。これに対し、春秋2回入学は、国内121人と外国籍66人の計187人で、76.3%を占めた。

 完全移行と2回入学を合わせた秋入学に賛成する学生は計211人で、全体の86.1%に達するという結果になった。

 賛成の理由では、「グローバルな社会に対応するためには世界の大学で一般的となっている秋入学制を取り入れた方が確実に多くの学生を呼び集めることができる」という回答が目立った。実際、APUでも留学生は秋入学が圧倒的に多く、学生を集める上で秋入学の効果は大きい。また、国際大学であるAPUの学生のマインドが、海外志向であることも、賛成の割合が8割近くに達した理由の一つだと推測できる。

 ■グループ化の傾向

 一方で、「同じ国籍の人たちが集まりグループを作っている」という問題点を指摘する声もいくつかあった。これはAPUでしばしば見受けられる光景だ。

 留学生が多いAPUのキャンパスでは、多様な言語が飛び交い学内の雰囲気はかなり刺激的だ。日本人学生が逆に海外に留学しているかのような錯覚に陥るほどである。ところが、現実には国籍によってグループ化してしまう傾向がみられ、多国籍の学生とは、すれ違うときにあいさつする程度という学生もいる。

 これでは、「個性と個性をぶつけ合い、異文化を相互理解する」という本当の意味での国際化は望めない。同じ国籍の学生が少なからずいるため、無理に難しいコミュニケーションを図る必要性がなく、自分たちの殼に入ってしまい、そこから抜け出そうとしないことが原因と思われる。国籍によるグループ化は、APUにとっても課題の一つになっている。

≪教育・産業界の変革不可欠≫

 本当の国際化を達成するには、どうすればいいのか。アンケートの意見から探ってみた。

 国籍によるグループ化という殻を破るには、大学側が、多国籍の学生同士がより積極的にコミュニケーションをとらなければならない環境や課題を提供することが必要だ。

 ■大学の負担大きい

 アンケートでは、特に留学生から「学内では英語しか使えないようにすることが国際化の必要条件だ」という意見が多く寄せられており、英語の公用語化は一案といえそうだ。このほか、国内学生に留学を卒業の必須とすれば、コミュニケーション能力の向上につながる。

 ただ、こうした環境を整えようとすると、現実問題として大学側は大きなコスト負担を強いられる。APUの場合、卒業と入学がそれぞれ春と秋の2回あり、その分、業務の量は春入学の大学よりも多くなる。学内の文書を英訳することや留学生への生活面を含むフォロー、海外での広報活動などにも費用がかかる。

 APUの篠崎裕二広報課長は、「そうしたコスト増は、結果として授業料に反映されてしまう」と話している。秋入学に移行すると同時に、国際化のための環境を整えるには、大学側も相当の努力が必要で、そのための負担も重いといえる。

 また、実際に秋に入学した卒業生へのインタビューでは、「9月までに内定をもらわないと卒業後も引き続き就活をしなくてはならず、既卒として扱われてしまう」という就職活動への影響を指摘する声が出た。秋入学への移行には、産業界の理解と協力が不可欠だ。

 これから大学に進む高校生からも不安の声が聞かれた。アンケートでは、春に高校を卒業した後、秋に入学するまでの「ギャップターム」に何をしたいかを複数回答で聞いたところ、「アルバイト」が全体の63%でトップだった。次いで、「資格取得」が53%、「運転免許」が49%、「ボランティア」が43%で続いた。

 高校生はギャップタームを無駄に過ごしてしまわないかと心配しているほか、進学後の英語でのコミュニケーション能力にも不安を抱いている。それでも、過半数が、春秋2回の入学制度に賛成しており、国際化の必要性は強く感じているようだ。

 ■地元は大歓迎

 最後に別府市民の声を紹介する。別府市は、APUが開校した影響で、人口に対する外国人の割合が全国1位となった。大分県が実施した「大学誘致に伴う波及効果」の中で、「APUができて良かったか」という質問に対し、市民の70%以上が「良かった」と答えている。「APUは別府の国際化に寄与したか」という質問にも、約75%が「寄与した」と回答した。市民はAPUを温かく受け入れてくれている。地元との良好な関係を築くことも、大学の国際化を進める上で重要なポイントとなりそうだ。

 アンケートや取材の結果、秋入学には数多くの課題が山積していると同時に、秋入学に移行するだけでは国際化につながらないことが浮き彫りになった。多くの学生が秋入学には賛成しているが、真の国際化を実現するには、教育界や産業界を含む社会全体の改革が不可欠だといえる。

      □□□

 APU学生と高校生へのアンケートなどで集まった意見を紹介する。

 【秋入学に賛成する理由】

・海外の高校で主流の6月卒業の学生たちが多く集まる

・留学や編入の機会が増え、柔軟な学生生活を送れる

・春の入試で失敗しても秋の入試でチャンスを得られる

インドネシアタイベトナムなども夏前の卒業なので賛成

・国際化に寄与し、多くの学生が日本に留学することが望める

・春入学が日本への留学を難しくしている

 【大学の国際化に必要なものは】

・入学制度を変えただけでは大学の国際化にはつながらない。日本と海外の両方で授業が受けられるなどの対応が必要

・学費の低価格化、豊富な留学プログラム、語学留学の支援。英語が苦手な学生にも留学の機会が与えられるようにすること

・日本語と英語での受講。留学生への奨学金。行政の対応。市民・地元の協力。大学そのものの魅力。

・小、中、高の教育システムを全て秋にシフトさせることが必要

・入学時期の問題ではなく、授業内容や留学生への対応の充実が必要

・キャンパスを多文化の環境にすること。学生レベルの異文化交流

・留学生を増やすだけでなく、違う文化や国を研究する必要がある

・学生の半分以上を留学生にし、世界共通語を使い、海外での研修の機会を増やす

・入学時期は関係ない。十分な施設や多様なフィールドをカバーするカリキュラムが重要

 【秋入学に対する高校生の意見】

・世界のトレンドにマッチするために積極的に秋入学を取り入れるべきだ

・視野を広げられる

・異文化交流が進む

・コミュニケーション能力を高められる

・刺激がふえて自己成長が期待できる

・ギャップタームを無駄に過ごしてしまうかもしれない

・英語でのコミュニケーションへの不安がある

・本当に国際化につながるのかわからない

 (今週のリポーター:立命館アジア太平洋大学 学生広報スタッフ 有志記者/協力:西南女学院高校/参考データ:「大学誘致に伴う波及効果」(大分県ホームページより)/SANKEI EXPRESS)

       ◇

立命館アジア太平洋大学 学生広報スタッフ 有志記者

取材・文:山本大貴、ベガフリア・エレイン・クルス、荒木郁加里、ジャヤゴダ・ディミトリー・デビンダ、一色恒佑(卒業生)

       ◇

学生広報スタッフ www.apu.ac.jp/spa

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世界経済が混迷する中、海外に活路を見出す企業同様、日本の大学も国際化に取り組んでいる。
東京大学の秋入学が話題となったが、日本の3学期制は世界では稀なのだろうか?
日本の小中高でも2学期制ができたが、年度や他校や大会等などからやはり欧米の2学期制とは全く異なる。
少子高齢化を迎える日本。
今後より世界との連携が不可欠になるだろう。
その時に学生時代から人材交流ができると良いのだが。

By MT
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